積読日記
Thu, 07 Apull 2005 編集
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Mon, 07 Apull 2008 編集
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■ [book] 虎よ、虎よ!, Alfred Bester (著), 中田 耕治 (訳), ハヤカワ文庫 SF
仕事を早めに切り上げてジュンク堂に買いに走り, 家に帰って一気読みした. 残業さえしなければ毎日小説に塗れて生活できそう.
閑話休題. 人喰い鬼の探索 (原題: OGRE, OGRE) で知っていて, 評判も良さそうなので前から読みたいと思っていた. その割にはアンテナが低く, 一月以上経ってから気がついた. 勢いはあるが, 物語の緻密さや登場人物の個性の描きわけはあまり上手くなく, 結末もよくわからずに消化不良だった. 特に, 内惑と外衛の関係がよくわからなかったので, クライマックス付近での手に汗握る緊張感が足りなかった. レビューサイトなどの前情報で過度に期待していたので, 不満な点が先行してしまうが, ページを繰る手を止められずに一気読みしたのでとても楽しんだのは間違いない.
どうも, 読んだ本のよい点を具体的に挙げるのが苦手な気がする. ここで挙げた物語の緻密さについては, 吉川英治の伝奇小説の物語の運び方と, 結末のただ一点へと収束する勢いが堪えられんとか, 登場人物の特徴づけは, Eddings 夫妻の地道に同じリズムとパタンで繰り返される軽妙な会話がよいとか, とかと書くと河を渡りたくなるとか, 不満点に対する改善案としてなら比較的挙げやすい.
本書が 50 年前の本で, 再販され未だに絶賛されていることを考えると, きっと後続に影響を与える新規性があったのだと思うが, 以前に類似した作品がなかったかどうかや, 雨後の筍の具体名を指摘できないことなど, 色んな作品を読んでいないために踏み込めないのが残念である. 同じ本を何度も読んでいる場合ではない, と思いつつも次は何度目かの悪魔の挑発を手に取っている.
投稿日時 : 2008年04月09日 02:37