積読日記
Sat, 13 OctOgre 2007 [長年日記]
■ [book] フラット化する世界(上), Thomas L. Friedman (著), 伏見威蕃 (訳), 日本経済新聞社
いまさらながら読んだ. 急速なネットワークの普及によって距離というものの意味が薄れてきたのは実感していたし, インドや中国といった社会の給与水準が相対的に低く人的資源が豊富な国で製造業やソフトウェアのオフショア開発が行われていることも知ってはいた. だが, あまり詳しい実態は知らなかったので, 本書の詳しい報告を読んで少し尻に火がついてきた. 日本などの生活に金のかかる場所で, インドや中国のプログラマと伍していくには, 相当に高付加価値な仕事をしなければならない. 低賃金で同等の仕事をしてくれるのであればそちらにアウトソースする方がよい. インドや中国は, 国を挙げて理工系教育に力を入れている上に, 若者はとてもハングリーということなので, 言語の溝さえクリアすれば, 日本の下請け業界などあっという間に蚕食されてしまうのではないか. プログラマを使う側からすれば, 代替可能な業務であれば, 英語や中国語でコミュニケートする体制さえ整えれば, 日本人プログラマを雇う動機は全く失せてしまう.
サプライチェーンの話題は私にとっては更に衝撃的であった. RFID タグを利用するなど, ネットワークとコンピュータの情報処理を駆使して, 需要と供給のバランスを推し進めることで在庫の抱え込みを抑えている. HP や DELL も当然この仕組みを利用しているわけで, 大量購入することで部品の単価を抑えられる上に, ユーザは PC の構成を自由にカスタマイズできる. 自作 PC が安いのはもはや昔話か.
■ [computer] 電子ペーパに望むこと
今回は気になったところでキーワードをメモしながら読んだため, 読書記録を書いた後で書き忘れ感が少なかった. 今後の電子ペーパの普及を渇望しているが, 電子ペーパの余白にスタイラスペンなどでメモを自由に追記できて, 書いたメモを検索できると更に素晴らしい. 当然ながら, メモとそのページはバインドされているべきである. 物理的な本にメモを書き込むと再読したときにそのメモに考えを誘導されて, 本を素の状態で読めなくなってしまうのが嫌だったが, 電子ペーパなどの論理的な本であれば容易に削除できるのでその心配は要らないし, 検索性もきわめて高い. そういった技術は既に実現されていると思うので, それらを組み合わせた本読み垂涎の電子ペーパの登場を望む.