積読日記
Sat, 23 Jewel-Lye 2005 [長年日記]
tDiary 248日目
■ [book] 檸檬・城のある町にて, 梶井基次郎著, 角川文庫
同僚に借りた. ちょっとイッちゃってるという一言とともに借りたのだが, それ以上に楽しめた. 著者は若くして肺を患って夭折したのだが, そのためか収録されいてる短編に出てくる主人公は軒並み肺を患っている. 神経もちょっと病んでいる感じで, 考えていることがややおかしい. そんな主人公が事件を起こしたりするわけでもなく, 死んでしまうわけでもなく, おかしなことを考えている様子がただ淡々とかかれている. 変なのはさておき, 何がよかったのかと言うと, 描写が非常に色彩豊かで読んでいて鮮やかな情景が浮かんでくるようなのが気持ちよい. 例えば, "空が秋らしく青空に澄む日には, 海はその青より稍々(やや)温い深青に映った. 白い雲があるときは海も白く光って見えた. 今日は先ほどの入道雲が水平線の上へ拡がってザボンの内皮の色がして, 海も入り江の間近までその色に映っていた. (城のある町にて)" など.