フィードメーター - 積読日記 track feed RSS スカウター : Mundania [ 合計 / 今日 / 昨日 ] [最新] [追記]

積読日記


Tue, 14 Jewel-Lye 2009 [長年日記]

tDiary 1700日目

[book] 上司は思いつきでものを言う, 橋本 治 (著), 集英社新書

タイトルがまず目を惹く. 上司が思いつきでものを言うのは会社の仕組みの構造上の必然であり, 上司がバカであるかどうかとは (あまり) 関係がない. これに反論して議論に持ち込むのではなく, ただ "えー" なり "はぁ" なりと声をあげて呆れることで上司自身に愚かな事を言ってしまったと自覚させよ, というのが一応の結論である. この対処法は, 実社会では果てしなく困難な気がする. 扱いは大きくないので埋もれてそうだが, "ちょっと考える" と "よく考える" の関係の解明は, よくここまで洞察して最終的に謙譲語と尊敬語の関係との類似性に着地したものだと畏敬の念すら覚えた.
前半部分はなかなか自分の身にもなった. 自分も上司の立場を持っているので, 現場を懐かしむ下りなどは同意しながら読めた. 思いつきでものを言わぬよう, 上司の役割を履き違えぬよう (命令ではなく指導や助言が役割) 気をつけよう.
本書のタイトルに関する結論は最初のほうで出てしまうのだが, 残りの部分では日本の会社や社会の構造上の問題点を, 儒教や官僚政治と絡めて議論していた. ところどころ面白いが, 紙幅が足らないせいか飛躍があるように感じてあまり説得力はなかった.

投稿日時 : 2009年07月15日 00:11